工具の基礎知識 フックレンチ

フックレンチはあらゆるナットに対応可能

バイク整備の七つ道具の1つフックレンチは、意外とさまざまなシーンで見かける、ポピュラーな工具ですが、特殊なナットに対応できる優れものです。
通常のねじ回しには標準的なレンチが使用されるので、頻繁に使う事はあまりないでしょう。
主に利用されるのは、ステムナットやスロッテッドナットと呼ばれる、特殊な形をしたパーツです。

丸い形をした本体にいくつもの切れ込みがはいった特殊な形なので、通常のスパナやメガネレンチでは対応できません。
締めすぎてもダメ、緩すぎてもダメといった、大変繊細な作業が必要になるので、なおさらフックレンチは重宝するのです。
マイナスドライバーやピンポンチ、あるいはタガネを代用する事も可能ですが、さらに細やかな作業を要します。
フックレンチなら一発で対応できるので、作業効率がぐんとあがる事まちがいありません。

フックレンチの特徴の1つは、幅が狭い事にあるのですが、ステムナットも厚みが少ないので、フックレンチのような工具がちょうど良いのです。
もちろん一般的なナットにも対応できますが、フックレンチの特徴をもっとも生かせるのは、なんといってもステムナットという事になります。
さらにフックレンチの弱点をカバーしてくれるのが、リングスパナです。

リングスパナはフックレンチを強力にカバーする

リングスパナはフックレンチとの相性が良くて、弱点を見事にカバー出来るでしょう。
リングスパナは開口幅を自在に変形できるので、フックレンチですら対応できない、さらに複雑でコンパクトなナットにも対応します。
初心者にはなかなか難しいリアサスペンションのプリロード調整も適切に行えるので、乗り心地を調整したい時に便利です。
フックレンチとリングスパナとを、上手に使いこめればバイクの整備も楽にできるようになります。

フックレンチは種類が豊富

フックレンチはさまざまな形状のものがあり、それぞれに得意分野あります。
基本的にはステアリングステムナット対応ですが、さらに特殊な形状のナットには、それに見合ったフックレンチタイプが必要です。
ピン型フックレンチやピン詰めフックレンチ、レンチとスパナの混合型など、さまざまあるので必要に応じて準備すると良いでしょう。
価格帯を見ると、安いもので数百円というのもあるので携帯もできます。

キーレスチャック用や丸ナットおよび軸受用ナットの取り付け、取り外し作業に最適なひっかけスパナなどもありますが、軽くて丈夫です。
あらゆるナットに対応させようと思ったら、フックレンチだけでも、かなりの種類を準備しなければならない不便さがあります。
可変タイプなら、あらゆるサイズのナットに対応できるので、おすすめです。

工具の基礎知識 ピックアップツール

ピックアップツール落としもの探しにもってこいツール

車は精密にできているので、小さなナット1つでも省略すると、ちゃんと作動してくれず、最悪大事故につながります。
通常さまざまな工具が所せましと並んだ作業所で、バイクのメンテナンス作業をする事が多いでしょう。
小さなネジをうっかり落とすものなら、ころころと転がって迷子になる事もしばしばです。

たかがネジ1本ですが、どこにいったのか見つからなかったり、手が届かない奥にころがっていたりしたものなら、とてもがっかりでしょう。
そういう時に多くの人は、何か長いものを見つけてきて、ひっかけたり転がしたりして手もとへ引き寄せようとします。
残酷にもさらに遠くへころがったら、お手上げです。
そのような時にピックアップツールを使います。

ピックアップツールは、外見は金属スティックのようですが、先端に強烈な磁石がついていて、仮に見えない場所に転がったものでも、すぐ吸着してきます。
さまざまな種類があり、一般によく見かけるのは全長135~575mmで本体重量30gの少し重量があるものです。
マグネットサイズは5×15mmで持ち上げ荷重約400gまで対応といったフレキシブルタイプになります。

極細タイプは全長128~640mmで本体重量25gと少し重さがあります。
マグネットサイズ4×12mmになり、持ち上げ荷重は約200gまで対応可能です。

フレキシブルタイプのように伸縮自在なものもあって、先端が自由に曲がるので、どのような狭くごちゃごちゃした場所でも使えて便利で、延ばせば最長600mmまで伸びます。
重い物用と軽い物用とありますから、いくつか準備しておくと作業効率がぐんと上がる事でしょう。

ピックアップツールはホームセンターへ

工具専門店やホームセンターなら、さまざまなタイプが安く市販されているので、探してみてください。
磁石が強くてなんでも拾ってくるタイプや、狭い場所でのもの探しに便利なタイプ、ストレートタイプなど、種類も豊富なので生活スタイルにあったものを選べばよいでしょう。
メーカーも様々なので、お気にいりのメーカーを見つける事もできるのです。
先端の磁石が4mm~5mmサイズなら、うっかりエンジンルームに落下した小さな部品をも拾い出します。

使い道いろいろ

ピックアップツールは文字通り落とし物をピックアップするためのツールですが、作業効率をあげるのにも貢献します。
ごちゃごちゃしたエンジンルーム上での作業中、ワッシャーやナットなど、極小パーツを目的地まで運ぶのに、便利です。
一個一個肉指でつまんで運ぶのは、忍耐がいるでしょうし、器用さも必要になってくるので、こうした便利グッズをフル活用した方が、楽でしょう。
車中での落としものにも、重宝しますし、使わない時にはコンパクトなので、ポケットに収めておいて必要に応じて取り出せます。

チューブタイヤの交換方法

バイクでタイヤ交換する意味

自家用車でのタイヤ交換は季節ごとに、当たり前に行われているけれど、バイクにも必要なのか、そこに疑問を感じている人もいるでしょう。
タイヤには2つあり空気で膨らます過程は一緒ですが、性質や使う場所は異なります。
チューブタイヤはタイヤの中にチュウブが入っていて、空気を入れるのはチューブです。

チュウブレスタイヤといった場合はタイヤに直接空気を入れます。
チューブタイヤはスポーツや山野もしくは荒地をメーンに走行するタイプです。
チュウブレスは街乗りなどオンロードが主流になります。

チューブタイヤの方が丈夫で長持ちしそうなのに、チュウブレスはあまり丈夫でなさそうに思えるでしょう。
いずれも2~3年に一度交換する程度で充分です。
タイヤは劣化すると、空気が漏れてくる事もあります。
もしも次回乗車するまでのスパンが長いなら、やはり先述したくらいのレベルで交換したほうが安全です。

タイヤのそもそもの寿命

スタッドレスタイヤと一般のタイヤといった分け方をした場合、スタッドレスの寿命は最大3年、一般のタイヤは最大10年です。
タイヤはゴムなので気候や温度の影響を強く受けて、経年劣化していきます。

ただし、乗り方によっても交換のタイミングおよび溝の減り方が違うのは、御周知のとおりです。
通学や通勤などオンロードを日常乗りした場合は、約20,000km~25,000km、峠やサーキットなど激しく使った場合は約5,000km~7,000kmが交換の目安になります。
長期ツーリングをよくやるという場合は約10,000km~12,000kmを目安に交換した方が安全です。

チューブタイヤを取り外したい

車輪からタイヤを外す作業が最初にきますが、実に面倒で力がいる作業なので、自信がない人はプロにまかせた方が安心です。
準備するものは、タイヤレバー、タイヤを浮かすためのジャッジ、アクスルシャフトと同径のベンチ、エアーコンブレッサ、ムシ外し、空気入れなどは最低準備します。
ビートワックスか石鹸、段ボールもしくはゴムパッド、ウエスなどもあれば、役に立つでしょう。

タイヤを本体から外して段ボールなどの上におくところからスタートです。
タイヤの空気を抜き、バルブナットもすべて外します。

次は作業者がタイヤに乗り、タイヤとホイールの接点を落とす作業です
タイヤレバーを使って、少しずつタイヤをはずしていきます。
次は隙間からチュウブを外し、裏返して同様の作業の繰り返す作業です。

新しいタイヤをはめたい

ホイール接面とタイヤにビードワックスをあらかじめ塗っておくと、作業が楽です。
タイヤとホイールの回転方向を確認しながら、タイヤをはめていきます。
この時、タイヤ側面のペイントマークとエアバルブ位置を合わせるのが、基本です。
空気を入れていき、“バン”と大きな音がなって、ビードがあがれば完了になります。

フロントフォークへの外部給油

フロントフォークは、フロントタイヤをささえる要兼衝撃から守る

フロントフォークはバイクの前輪を、2本ないし1本のフォーク状の支柱が挟み込むように支えているパーツです。
前輪を支え固定させる役目と、地面からの衝撃を吸収し和らげる役めとがあります。
多くのフロントフォークで標準採用されているのが、テレスコピック型です。

内部に一回り小径口のインナーチューブが組み込まれていて、望遠鏡のように伸縮する事から、テレスコピックと名付けられました。
フロントフォールは管内にオイルがたっぷり入っています。
このオイルこそが、衝撃を吸収して和らげてくれているのですが、劣化しやすいので定期交換が必要です。
インナーチューブが劣化すればフォークの動きが悪くなりますから、操作しずらさが生じます。

コーナリングがしずらくなってきた、ハンドルがスムーズに動いてくれないなど、不具合を感じるようなら、なるべく早く適切な対応もしていく事が肝心です。
消耗した部品を交換するための、オーバーホールも必要になってくるでしょう。

フロントフォークに違和感がある時の対応

オイルもインナーチューブも、フォークシールもすべて消耗品なので、交換をおすすめします。
フロントフォークの伸縮性が弱い時は、ボルトがゆるんでいる可能性が大きいです。
前輪を多少でも浮かせるようにしてから、ボルトを締めなおします。
オイルが劣化していると思われる場合は、オーバーホールが最適です。

オーバーホール以外の方法で注油

フロントフォークの伸びが悪い、ハンドル操作がうまくいかないという時は、インナーチューブとフォークシールの油分が減ってしまった可能性が考えられます。
その時はオーバーホールしなくても、外部から注油すれば良いのです。
手順としてフォークシールを露出させます。

フォークシールを少し上の部分に移動した時に、インナーフォールとの間にさびがみつかったら、除去しておきます。
防錆スプレーを吹き付けてみるのもおすすめです。
さびをとるにせよ、汚れを除去するにせよ、表面を傷つけないように注意します。
特にダストシールやフォークシールは丁寧に扱う事は重要です。

さもないと交換しなければならなくなり、不経済です。
最後にシールの内側に注油します。
スプレーケミカルを使えば、シールの内側に注油できて便利です。

オーバーホールでメンテナンス

オイル交換するなら、オーバーホールが手っ取り早いです。
インナーチューブとフォークしーを力強く押し上げている間に、インナーチューブを抜きとり、オイルを入れ替えます。
これも言葉で言えば簡単ですが、何通りもの手順をふまなければならないので、面倒くさいと感じる人もいるでしょう。
すべてのパーツの状況を目で確認しながら、サビや汚れを落とせるので、不具合を解決するには最良の方法です。

ブレーキオーバーホールのメンテナンス

ブレ―キシステムがきちんと制御できないと危険

バイクのブレーキはエンジンブレーキ、前輪のフロントブレーキ、後輪のリアブレーの3種あるのは御周知のとおりです。
アクセルを踏んで停止させるのがエンジンブレーキ、右手レバーで停止するのがフロントブレーキ、左手レバーもしくは右ペダルで停止するのが、リアブレーキになります。
いずれのブレーキにせよ、ブレーキシューとブレーキパッドが機能して停止できるので、両者が常に好調に機能している限り安心走行が可能です。

基本的には左右ハンドル操作でブレーキを機能させるので、ストレスなくて停止できるようになるために、練習と慣れが大切になってきます。
併せてブレーキシューとブレーキパッドの摩擦にも、注意を向けなければなりません。
一生のうちで急ブレーキをかける事はさほどないでしょう。

しかしながら、渋滞に巻き込まれて何度も停止する時は、リアブレーキを頻繁に使っていますから、ブレーキシューやパッドは停止するたびに摩擦を繰り返す事になります。
もっともすり減りやすいパーツです。
走行中にブレーキに違和感を少しでも、感じたら臆することなく、安全に停止できる場所に移動して、レッカーを依頼するか、プロの整備士に点検整備をしてもらいましょう。

ブレーキパーツが消耗したまま走行し続けたらどうなる

ブレーキシューもブレーキパッドも、少しの間は普通に走行できますが、周辺のパーツが傷つき消耗します。
近隣のパーツであるディスクローターに、ベースプレートが触れてしまう事で、ディスクローターも消耗するのです。
パーツ交換時には、ブレーキシューやパーツと共に交換する事になるでしょう。

単に汚れているだけなら洗浄するだけですみますが、消耗が原因となると部品交換になります。
仮に洗浄だけであってもプロ依頼すれば、経費はかかってくるので、エンジンシステムに詳しいなら自力で修理交換できるのが一番です。
デスク式ブレ―キで使用されるブレーキオイルが、汚染されてブレーキの不具合を引き起こす事もあります。

ブレーキオイルはいわゆるエンジンの潤滑油ですが、吸湿性があるため、水分を吸収してしまう事が多々あります。
それがもとでブレーキが効かなくなる事も起きてしまいますので、定期的に交換が必要です。

ブレーキ修理はオーバーフローで

オーバーフローすれば、根本的原因が見えてきます。
バイクの心臓部を解体する事になりますが、オーバーフローに自信があるほど、バイクに詳しいならやってみて損はないでしょう。
定期的にオーバーフローを行うほうが、事故防止になりますし、マイカーをさらに長く楽しめむことが出来ます。

手順は簡単です。
最初にオイルを事前にすべて抜き取っておくことがポイントです。
パーツを分解してから、クリーンアップしてから復元し、新しくてきれいなオイルを注入します。

最初に買うのは安い工具かそれとも高い工具か

値段は工具の質と精度に直接関係することが多い

バイクのメンテナンスにはいろいろな工具が欠かせません。
しかし、一口に工具と言ってもピンからキリまであって、値段もかなりの差があります。
スパナを取ってみても、一つ100円で買えるものから、1.000円近くするものまであります。

もちろん値段が安いに越したことはないのですが、工具の場合は値段が品質に直結することが多いので注意が必要です。
安いものも高いものも見た目にはほとんど変わりがないように感じられますが、実際に使ってみるとその差は歴然です。
作業効率がかなり変わってきますし、ボルトやナットの角が取れてしまったり、パーツを傷つけたりすることもありますので、できるだけ質の良いものを最初から購入した方が良いでしょう。

バイク用品店で工具を買った方が確実

工具にはいろいろなメーカーや販売店があって、ホームセンターや果ては100円均一のお店でも買うことができます。
もちろん、しっかりと質を選んで買えばどこで購入しても良いのですが、やはりバイク用品店などの専門店で購入した方が安心です。

というのも、バイクのパーツのメンテナンスのために使いやすい工具と、DIYなどのための工具とは同じ種類であっても微妙に異なるからです。
狭いところでもボルトなどを回しやすいように作られていたり、力を込めやすいようにグリップに工夫が加えられたりしています。
なにより、プロの人たちが使って使いやすいと思う工具を置いていますので、その品質には折り紙付きなのです。

確かにバイク用品などに置いてある工具は、他のお店にあるものよりも価格が高めです。
しかし、同じように見える工具でも、質の良いものは良い材質を使っているため、軽くて薄くなっていて使いやすいというメリットがあります。
また、ヘッド部分の精度も高いので、しっかりとナットなどをホールドしてくれて、確実に作業をすることができます。

少しずつ良いものを揃えていくことができる

スナップオンマックツールなどの世界的なブランドの工具は品質が確かで見た目も良いものですが、その分かなり高い価格設定となっていて、なかなか手を出すことができません。。
最初からこうした道具をそろえるのは大変ですので、少しずつ良いものを揃えていくと良いでしょう。
良い工具はとても使いやすい、角を潰すなどのミスもなくなりますので、バイクにも優しいということを実感できます。

バイクのカスタマイズと同じように、工具にも徐々にお金をかけていって良いものを持てるようにしたいものです。
そうすることで、メンテナンスをすること自体も楽しくなって、よりバイクへの愛着がわいてくるというメリットもあります。